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H.H.H.A. (The Home,Hotels,Hideyoshi,Away) 01 / 02 / 03
2011

Mirror film-covered wooden structure, rope
Video documentation of an action: 01m 12s / 03m 00s / 01m 21s



大阪府は文化事業「おおさかカンヴァス推進事業」としてアート作品を公募するとともに、その作品の制作スタッフを、失業者の雇用を促進する緊急雇用創出事業として募集した。そうして集められた制作スタッフにはアートに初めて携わる者が多く、なかには精神的苦痛によって家から出られなかった、いわゆる元引きこもりや元ニートの者もいた。作品プランが事業に採用された私は、数ヶ月間にわたり制作作業をともにすることになった彼女/彼らの家を訪問させてもらい、それぞれの部屋の形状やサイズをトレースして、それらをモデルに構造体を制作した。完成した構造体の表面は鏡面状になっており、周囲の風景を反射する。このHHHAシリーズは、大阪のシンボリックな三ヶ所(中央公会堂、大阪城公園、万博記念公園)を巡回し、その公共空間に彼女/彼らの私的空間から派生した構造体たちを溶け込ませながら、それらをロープで引き倒していく作品である。

しかし、3月12日に予定されていた大阪城公園でのパフォーマンスの前日、東日本大震災がおきてしまう。大阪から離れた東北地方で津波は数え切れないほどの家屋をなぎ倒してしまった。構造体が住居をモチーフとしている以上、「引き倒す」という行為についてその意味を考え直さなければならなかった。当日、公園に集まったプロジェクト関係者やパフォーマンス参加者と話し合った結果、12日のパフォーマンスを中止。そして翌13日「構造体を一方向からロープで引っぱり倒すのではなく、前後の両方向からお互いが協力しバランスをとりながら引っぱることで、音を立てないようにゆっくりと構造体を引き起こしたい」と参加者にスピーチし、パフォーマンスを行った。